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カリフォルニア、ニューヨーク、オハイオ、テキサスの4 州における州所得税の違いについて

10.01.2016 | カテゴリー, Tax

発知 千恵子
EOS 会計事務所
ロサンゼルス事務所 シニアマネージャー

昨今、米国に進出する日系企業の皆様より、州税に関するお問い合わせを多くいただいております。本稿では特にお問い合わせの多いカリフォルニア、ニューヨーク、オハイオ、テキサスの 4 州に絞って州所得税の比較を要約して記させて頂きます。

予備知識:

各州税についてご説明させて頂く前に、知っておいて頂きたい何点かの項目を以下に示します。

米国で会社を設立する際の企業のタイプにはさまざまな選択肢がありますが、一般的に、米国での事業主体の種類としては、C Corporation, S Corporation, Limited Liability Company, と Partnership があります。本稿では C Corporation に対する州税について説明いたします。

C Corporation(C 株式会社)

C Corporation は株主からは独立した納税主体で、会社定款(corporate charter)を各州当局に提出し、各州法に基づいて設立されます。企業は創立総会及び株式の発行およびその保持などについて州法を遵守
しなければなりません。個人、企業、そして非企業事業体が、資金や資産との交換に株を取得することにより、株主になります。株主数に制限はなく、株主の種類や株主数の変更は、企業の存在に影響を与えることはありません。企業の負債に対する株主の責任は、会社の資本への投資の範囲に制限されています。

単一事業体 (Unitary Business)

複数の関連会社グループに対し、一般的には「資本関係、機能統合、経営の集中化、および経済の規模」などの要素が一定の基準を満たした企業をユニタリー・グループ(単一企業体)と分類します。 単一企業体と認められた場合は、そのユニタリー企業から稼得された所得を合算して申告することを義務付ける州が多くあります。

州所得税のネクサス(Nexus)

企業が複数の州で事業をおこない、ネクサスがある場合、各州は配賦方式(apportionment formula)を用いて算出された会社の収入の一部に課税することが出来ます。ネクサスとは、納税者(すなわち企業)と税務管轄(すなわち州)との間で税務管轄が税法に従って納税者へ課税権が生じることです。たとえば、会社の課税所得はパイのようなもので、ネクサスがある州はその州における配賦率により、スライスを決定し課税権が発生すると考えることができます。

ネクサスの定義は州によりそれぞれ違いがありますが、主に下記を満たした場合、その州にネクサスがあると判断されます。

  • 物質的なネクサス: 州内に不動産やリース資産、有形動産、従業員を持つために発生するネクサス。
  • 経済上のネクサス: 州内でビジネスをおこない、所得はあるが物質的な所在のない州外の企業に対して発生するネクサス。

州所得税の計算

州所得税の計算方法には、それぞれの州において独自の規定があります。一般的には連邦所得計算を基礎としており、その連邦課税所得額に対して、州独自の調整項目を加減算し州に対する課税対象額を算出します。複数の州で事業活動をする企業は、それぞれの州課税対象額を算出し、州配賦方式で
算出した配賦率を使用し事業所得が州に配分されます。

配賦方式

ネクサスがある州への企業所得の分割は、一般に、非事業所得は所得所在地に配分され、事業所得は定式配賦法により配賦 (apportionment) されます。

州毎の特色

カリフォルニア州 –

カリフォルニア州法人税法は、すべての企業、企業のような事業体、および銀行を含む金融法人に適用されます。カリフォルニア州会社法は、カリフォルニア州務長官に認可されカリフォルニアで設立された企業およびカリフォルニア州で事業をおこなう非認可企業(州外法人)の全てにフランチャイズ税
(Franchise Tax)を課します。

カリフォルニア州は、米国内外を含む全関連会社の全世界収入を報告するよう義務付けていますが、水際方式(Water’s Edge Election)を選択した場合は、米国外法人を除き米国内にある単一事業体に対して合算申告をすることになります。水際方式を選択をした場合は84ヶ月間(7 年)は水際方式での税務申告を求められ、7 年終了後に更新をしない場合は、外国法人を含む全世界関連企業をベースにカリフォルニア州の配賦方式に基づいて配分された収益にたいして課税されます。

カリフォルニア州法人税率は、一律 8.84%で課税されますが、最低税の$800 は全ての法人に課されます。従いまして、州課税対象所得が無い場合でも$800 の納税は必要となります。カリフォルニア州に納める全ての納税額が$20,000 以上になった場合、電子納税による納税が必須となっています。

申告書は会計年度終了後 2 ヶ月半以内に提出を義務付けています。7 ヶ月の延長が可能です。納税の延長は出来ませんので、延長申請時に当該年度試算税額の 100%を納税をする必要があります。

ニューヨーク州 –

州税:

ニューヨーク州で事業をおこなっている、資産がある、リースをしている、または事務所を所持している全ての州内外の企業は、特別な免除がされない限り、フランチャイズ税の対象となります。

2014 年以降の税務申告において、50%以上の資本関係がある企業グループは水際選択の合算申告が適用されるようになりました。

2016 年度より州税は州所得課税対象額に対して 6.5 %が基本税率となりましたが、固定最低税および資本ベース税との比較により、最終的に納税額の高い税金を納めることになります。固定最低税の対象は州内における受取り(レシート) に対して適用税が割り当てられており、資産税はニューヨーク州に所有している資産を基に課税されます。

その他、製造業、新興テクノロジー企業などは減税などの特典があります。

ニューヨーク州では全て電子納税が必須となっています。

MTA 税:

Metropolitan Commuter Transportation District (MCTD) 内での事業活動による売上がある場合、MTASurcharge 申告書を提出する必要があります。MCTD に含まれるカウンティは New York, Bronx, Kings, Queens, Richmond, Dutchess, Nassau, Orange, Putnam, Rockland, Suffolk, と Westchester です。

MTA 税は州税に対し一律 28%が課せられます。MTA 税は州税と一緒に納めます。

ニューヨーク市税:

ニューヨーク市で事業をおこなっている、資産がある、リースをしている、または事務所を所持している全ての州内外の企業は、ニューヨーク市税の対象にもなります。

ニューヨーク市は州税と同様に独自の加減算をし、市所得課税対象額を算出します。その所得に対して、一律 8.85%の税率で納税額を決定します。そのほかに州同様の資本ベース税、固定最低税を考慮し、それらの最も高い税金を納税することになります。

ニューヨーク市では全て電子納税が必須となっています。

申告書は会計年度終了後 2 ヶ月半以内の提出を義務付けています。延長は提出期限より 6 ヶ月間可能です。納税の延長は出来ませんので、延長申請時に当該年度試算税額の 100%を納税をする必要があります。

オハイオ州 –

2009 年を最後にフランチャイズ税は commercial activity tax (CAT) に変更されました。CAT は年間の特権税で課税対象の売上に課され、対象は個人、LLC、およびみなし事業体(Disregarded Entity)を含む、企業及び企業形態をとっていない事業体になります。年間の課税対象の売上が$150,000 以下か、特定の「除外者」のカテゴリーに属する場合は CAT は免除されます。

50%以上の資本関係がある企業グループは、合算 CAT 納税をするよう義務付けられています。合算申告上で関連企業間の売上げを控除することは出来ません。合算申告書を提出する代表企業以外からの別申告書提出要請を申し出て許可された場合は、その企業が別申告書を提出することができます。

年間売上げが百万ドル以下の納税者は毎年 5 月 10 日までに申告書を提出します。年間売上げが百万ドルを超えるの納税者は、四半期ごとの申告書提出を求められており、5 月 10 日、8 月 10 日、11 月 10 日と2 月 10 日が提出期限となります。

売上げ額により税額が設定されており、電子納税が必須となっています。

テキサス州 –

フランチャイズ税 はテキサス州で事業を展開している事業体かテキサスで登記、設立された事業体または単一事業体に属する関連会社に課されます。

テキサス州は合算申告が必須ですが、米国外で事業を行う納税主体が 80%以上の資産および給与を米国外に所有する場合は合算には含めません。

C Corporation は、①総売上げから売り上げ原価を相殺した額、②総売り上げから報酬を相殺した額、③総売り上げの 70%、④総売り上げから百万ドルを差し引いた額、の何れか少ないマージンに対して、一般企業は 0.75%の税率で課税されますが、その他企業 (例えば、卸売業、販売業等) に対しては、低減税率
の特典があります。

申告書提出期限は翌年の 5 月 15 日と決められており、電子納税者は最初の 3 ヶ月と追加の 3 ヶ月の延長申請をそれぞれ提出することにより、最長 11 月 15 日までの延長が認められます。また、テキサス州は予定納税システムが無いため、申告書提出時に一括納税するか、延長時に当該年度試算税額の 90%を納税することになります。テキサス州に納める全ての納税額が$10,000 以上になった場合、電子納税が必須となっています。

別添エクセル:

州ごとの比較をしております。

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「出所:各種資料を基に筆者作成」

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