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米国個人所得税確定申告シリーズ- (10) トレーニーや学生の税務上の取り扱い

03.25.2022 | カテゴリー, Tax

F, J, M. Q等のビザで米国に滞在する、Teacher、Trainee、Researcher、Studentの場合は、米国税法上、”Exempt Individual” とみなされ、”Exempt Individual”としての特別なルールの適用により、例外を除き、米国非居住者として申告することになります。ここでは、申告身分の決定、 ”Exempt Individual” という特別なルールおよび ”Exempt Individual”の例外規定について説明します。

申告身分の決定

米国での申告の際、通常は、グリーンカードテストおよび実質的滞在条件テストを適用し、米国税法上居住者あるいは非居住者かの決定を行ます。グリーンカードテストでは、グリーンカード保持者あるいは米国市民の場合は、全世界どこに居住していたとしても、税法上は米国居住者としての申告となります。

実質的滞在条件テストは、申告年で米国滞在日数が31日以上の場合で、申告年を含む過去3年間の米国滞在日数を次のように計算し、3年間の合計米国滞在日数が183日以上であれば税法上米国居住者となります。

申告年の米国滞在日数)+(前年度米国滞在日数 x 1/3)+(2年前米国滞在日数x 1/6) ≥ 183

“Exempt Individual”

F, J, M. Qビザで米国に滞在する、Teacher、Trainee、Researcher、Studentの場合は、米国税法上 ”Exempt Individual” として取り扱われ、実質滞在テストの適用が免除されます。よって、米国滞在日数がゼロとみなされることから、”Exempt Individual” として取り扱われる期間中は、米国税法上非居住者とみなされます。”Exempt Individual” としての申告には、様式8843 (Statement for Exempt Individuals and Individuals with a Medical Condition) を提出します。この免税措置は、Fビザの場合5年間、Jビザの場合過去6年間の内2年間に適用されます。過去6年間で既に2年間Jビザとして滞在した場合は、通常”Exempt Individual”のルールが適用されないということになりますが、下記の例外規定をすべて満たす場合は、引き続き”Exempt Individual”としての申告が可能です。

例外規定

申告年を除く過去6年間で2年間、Jビザ保持者として米国に滞在し、既に ”Exempt Individual” として申告をしていた場合は、申告年に、“Exempt Individual”としての取り扱いを受けることができませんが、例外規定として、次の4条件を満たす場合は、”Exempt Individual” の取り扱いを受けることが可能になります。

  1. 申告年を除く過去6年間暦年)で、”Exempt Individual” として米国に滞在していた年数が3年(暦年)以下であること。
  2. 申告年の給与はすべて米国外の雇用主によって支払われていること。
  3. 申告年を除く過去6年間(暦年)において、TeacherあるいはTraineeとして米国に滞在していたこと。
  4. 申告年を除く過去6年間(暦年)において米国外の雇用主からのみ給与が支給されていること。

この例外規定の適用を受けるためには、申告年および過去にTeacher あるいはTraineeとして滞在していた期間は米国外の雇用者によって給与が支払われていたことを証明するstatementを様式8843に添付して申告する必要があります。

Traineeとして米国の雇用者から給与の支払いを受ける場合は、注意が必要です。米国雇用者から支給される給与は米国源泉所得とみなされて、米国での課税対象となります。Traineeの場合は、”Exempt Individua”であることに変わりありませんので、税法上は米国非居住者となり、米国源泉所得のみが課税対象となります。この場合は、米国非居住者申告書である様式1040- NRと、様式8843の2種類の様式を申告する必要があります。

また、居住州によってはこの例外規定が認められないケースもあります。その場合には、州に申告書を提出して所得税を納税することが必要となります。

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