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米国個人所得税確定申告シリーズ(7)2025年度開始 Trump Accounts (トランプ・アカウント)の概要と税務上の留意点

04.10.2026 | カテゴリー, Tax

シリーズ第7回目では、2025年度から導入されたお子様向け新制度「Trump Accounts (トランプ・アカウント)」について、制度概要に加え、米国確定申告および日本人駐在員のお子様への影響を中心に整理します。

【Trump Accounts  制度の概要】
Trump Accounts (トランプ・アカウント)は、2025年に成立した連邦税制改正法(One Big Beautiful Bill Act)に基づき創設された、18歳未満のお子様を対象とする税制優遇型投資制度です。税法上は 内国歳入法第530A条(IRC§530A)に規定されたIRA に類似する制度として位置付けられています。口座の名義人はお子様本人となり、18歳に達するまでは親または保護者が管理者として運用します。

【開始時期および対象者】
制度上の開始年度は2025年度ですが、実際の口座稼働および拠出開始は2026年7月4日とされています。対象者は、年末時点で18歳未満かつ有効な Social Security Number(SSN)を保有するお子様です。また、2025年1月1日から2028年12月31日までに出生した米国市民のお子様については、米国政府から一律1,000ドルの特別拠出が行われます。

【拠出額および運用ルール】
対象となるお子様1人につき、政府から1,000ドルの初期拠出が行われますが、これとは別に、家族や第三者から年間最大5,000ドルまでの追加拠出が可能です(インフレ調整あり)。 拠出された資金は、低コストの米国株式インデックスファンドまたは ETF に限定して投資され、原則として18歳に達するまでは資金の引き出しはできません。

お子様が18歳に達した後、教育費、初めてのマイホーム購入、起業目的など一定の認められた理由による引き出しについてはペナルティは課されませんが、運用益部分については当該引き出し年度において一般所得(ordinary income)として課税対象となります。

Trump Accounts  の開設方法】
Trump Accounts (トランプ・アカウント)の開設は、銀行口座の新設ではなく IRS に対する制度選択(Election)として位置付けられています。そのため、現時点では Form 4547 の提出、または将来開設予定の公式オンラインポータルを通じた手続きに限定されています。現段階では銀行・証券会社・投資アプリ等で直接 Trump Accounts  を開設することはできません。

Trump Accounts  開設方法の比較一覧表

開設方法 利用可能時期 主な特徴
Form 4547(確定申告書に添付) 現在可能 申告書と同時に提出
Form 4547(確定申告と別送) 現在可能 申告後でも提出可能。郵送または電子提出が可能
公式オンラインポータル(trumpaccounts.gov) 2026年半ば予定 オンライン完結。Form 4547と同一の法的効果

 

【米国駐在員など、長期滞在する予定がない方への注意点】
米国駐在員の方で数年内に日本へ帰任する予定がある場合、Trump Accounts  の利用にあたっては以下の点に留意する必要があります。Trump Accounts  は名義人がお子様本人となる制度であり、原則として18歳に達するまで資金を引き出すことができません。そのため、駐在期間中や帰任直後に資金を活用することは想定されておらず、短期的な資産運用目的には適さない制度といえます。

また、将来的に日本へ帰国し、お子様が日本の居住者となる場合の税務上の取り扱いにも注意が必要です。Trump Accounts  は保有しているだけでは課税所得とはならず、申告義務も生じませんが、18歳以降の引き出しや Roth IRA への転換を行った場合には、米国源泉所得として米国で確定申告が必要となります。

なお、日本の税務上の取扱いについては、将来の法令解釈や国税庁の見解により変更される可能性がある点にも留意が必要です。

【まとめ】
Trump Accounts  は、政府による初期拠出と長期投資を組み合わせた新たなお子様向け資産形成制度です。一方で、18歳まで資金拘束がある点や、将来的な引き出し時・居住国変更時の税務申告負担を十分に理解したうえで制度を利用することが重要です。特に日本への帰任を予定している米国駐在員の方は、日米双方の税務影響を踏まえた中長期的な税対策を行うことが望まれます。

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