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米国個人所得税確定申告シリーズ (4) 外国人の居住・非居住判定

02.27.2026 | カテゴリー, Tax

 

シリーズ第4回目では外国人の居住・非居住判定について説明します。

確定申告にあたっては、就労ビザで米国に滞在している外国人について、税法上の居住ステータスを判定する必要があります。居住ステータスによって、課税対象となる所得の範囲、適用される税率、控除内容などが異なるため、この判定は非常に重要です。

税法上の居住ステータスには、居住者(Resident)、非居住者(Non‑Resident)、または米国への入国年および出国年に該当する、居住者と非居住者の双方の性質を持つ二重身分(Dual Status)があります。

 

居住者(Resident)

米国市民権を有していない場合、税法上の米国居住者に該当するかどうかは、グリーンカードテストまたは実質的滞在条件テスト(Substantial Presence Test)に基づいて判定されます。米国居住者と判定された場合、課税対象は全世界所得となり、Form 1040により確定申告を行います。また、結婚している場合には、夫婦合算申告(Married Filing Jointly)または夫婦別申告(Married Filing Separately)のいずれかを選択することができます。

  1. グリーンカードテスト

米国永住権(グリーンカード)保持者は、米国での滞在期間にかかわらず、永住権を取得した時点で税法上の米国居住者とみなされます。なお、米国外で永住権を取得した場合には、米国に入国した日から税法上の居住者となります。

  1. 実質的滞在条件テストSubstantial Presence Test)

確定申告対象年度において、以下の条件を満たす場合に税務上の居住者としてみなされます。

    • 当該年度において31日以上米国に滞在しており、かつ、
    • 当年度・前年度・前々年度の滞在日数を一定の加重計算により合算した結果が183日以上となる場合

なお、この183日という基準は、単純に3年間の滞在日数を合算するものではなく、以下の方法により算出されます。

 

<過去3年間の滞在日数計算方法>

当年度
滞在日数
+ 前年度
滞在日数の1/3
+ 前々年度
滞在日数の1/6

例)滞在日数が2025年は60日、2024年は250日、2023年は300日の場合は、60 + (250/3) + (300/6) = 193日のため、税法上は2025年は居住者となります。

 

非居住者(Non-Resident)

グリーンカードテストおよび実質的滞在条件テストのいずれにおいても居住者要件を満たさない場合、税法上は非居住者として扱われ、Form 1040NRにより確定申告を行います。課税対象となるのは米国源泉所得、つまり、米国内でで役務提供をしたことに対す報酬となります。また、課税年度末時点で結婚している場合であっても、非居住者には夫婦合算申告は認められていないため、夫婦別申告(Married Filing Separately)となります。

また、研究者や留学生などの JビザおよびFビザ保有者 は、連邦税法上「Exempt Individual(免除対象者)」に該当するため、実質的滞在条件テストにおける滞在日数の計算対象外となり、一定期間の間非居住者として扱われます。これらの方は、Form 1040NRに加えて、Form 8843(Statement for Exempt Individuals and Individuals With a Medical Condition)を提出する必要があります。課税対象となるのは米国で発生した所得に限られ、米国外の雇用主から支払われる給与所得や各種手当については、当該報酬を米国外の雇用主が負担していることを条件として、非課税扱いとなります。ただし、州税については連邦税とは異なる取り扱いとなるため、申告内容には十分な注意が必要です。

 

二重身分(Dual Status)

米国に入国した年または出国した年においては、税法上の米国居住者である期間と非居住者である期間が混在する「二重身分(Dual Status)」となる場合があります。二重身分として申告する場合、非居住者期間は米国源泉所得のみが課税対象となり、居住期間は全世界所得が課税対象となります。一方で、二重身分での申告では、概算額控除(Standard Deduction)や夫婦合算申告(Married Filing Jointly)は適用されないため、項目別控除(Itemized Deduction)を選択し、夫婦別申告(Married Filing Separately)を行う必要があります。

なお、一定の条件を満たす場合には、居住者として申告することが認められるケースもあります。そのため、税法上の身分については、納税者にとって最も有利となるよう慎重に判定を行うことが重要です。

 

居住者-7701(b)(4)の選択

米国に入国した年において、実質的滞在条件テストの要件を満たさない場合であっても、税法所の居住者選択(IRC Sec 7701 (b)(4))を行うことにより、税法上の米国居住者として申告することが可能となる場合があります。

この選択の適用条件は以下となります。

  • 当年度における米国滞在期間が、連続して31日以上であること
  • 当年度の米国滞在日数が、入国日から年度末までの期間の75%以上であること
  • 当年度および前年度のいずれにおいても、税法上の米国居住者に該当していないこと
  • 翌年度において、実質的滞在条件テストを満たし、税法上の米国居住者となること

この選択を行った場合は、通常延長申請を提出し翌年に居住者としての条件を満たしてからの申告となります。

以上の様に、外国人の米国個人所得税においては、税務上の居住者・非居住者の判定が申告の前提となります。この判定により、課税対象となる所得の範囲、使用する申告書式、控除や申告方法が大きく異なりますので、滞在状況やビザの種類を正確に確認し、適切なステータスで申告することが重要です。

 

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