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米国個人所得税確定申告シリーズ (3) キャピタルゲイン・ロス(譲渡所得・損失)

02.13.2026 | カテゴリー, Tax

シリーズ第3回目ではキャピタルゲイン・ロスについて説明します。

キャピタルゲインは、証券、株式、仮想通貨、不動産、その他資産を売却して利益が発生したときに、購入価格と売却価格の差による収益が課税対象となります。保有期間の長期・短期で税率が異なります。

1.キャピタルゲイン(売却益)

短期(Short-Term):購入から1年以内に売却すると、通常の累進税率(10%〜最大37%)が適用されます。

長期(Long-Term):1年超保有後に売却すると、優遇税率(0%、15%、20%)が適用されます。所得金額および申告ステータスにより適用範囲が異なります

長期キャピタルゲイン税率(優遇税率)

 独身(Single)夫婦別(MFS)夫婦合算(MFJ)世帯主(HOH)
0%$0–$48,350$0–$48,350$0–$96,700$0–$64,750
15%$48,351–$533,400$48,351–$300,000$96,701–$600,050$64,751–$566,700
20%$533,401以上$300,001以上$600,051以上$566,701以上

また、多額の投資収入がある場合は、純投資所得税(NIIT)3.8%の追加税が課せられる可能性があります。(例:長期キャピタルゲイン税15%+NIIT 3.8%=18.8%)

対象となるのは、以下の所得基準(修正後総所得:MAGI)を超える場合です。

NIIT(純投資所得税)判定の所得基準(MAGI)

申告ステータスMAGI 基準
独身(Single)$200,000超
夫婦個別(MFS)$125,000超
夫婦合算(MFJ)$250,000超
世帯主(HOH)$200,000超


2.キャピタルロス(損失)について

年間の売却で損失が出た場合、同じ年の利益と相殺することができます。損失が利益より大きい場合、年間最大$3,000(独身または夫婦合算申告)、または$1,500(夫婦別申告)まで課税所得から差し引くことができ、相殺控除額を超えた損失は翌年以降に繰り越しすることが認められています。

3.不動産売却について

投資目的の不動産の売却は、証券、株式等の売却と同じように扱われます。購入価格より売却額が高いと利益が発生し、課税対象となります。

ただし、米国ではご自身が住んでいた自宅を売却した場合、一定の条件を満たすことで、売却益の$250,000(独身/夫婦別申告)、または$500,000(夫婦合算申告)までを非課税とする控除制度が設けられています。

  • 納税者がその住宅を所有していたこと(所有要件)
  • 売却前の5年間のうち、少なくとも2年以上その住宅に主として居住していたこと(居住要件)

非課税枠を超えた売却益は長期キャピタルゲインとして課税されます。売却損については個人損失となり、控除の対象にはなりません。

また、予測不可能な理由(転勤、健康上の理由、その他規定に定める場合)により、上記の条件を満たすことができない場合であっても、この非課税枠が部分的に適用されることがあります。

キャピタルゲイン・ロスが発生した場合は、Form 8949(Sales and Other Dispositions of Capital Assets)および Schedule D(Capital Gains and Losses)にて売却内容や損益の報告が必要となります。

4.州税について

キャピタルゲインに対する課税は連邦税だけでなく、州税にも影響されます。州によって制度が異なるため、事前に確認しておくことが大切です。

例えば、カリフォルニア州では長期保有の優遇税率はなく、通常所得として課税されます。最大税率は13.3%になります。ミズーリ州では2025年度より州のキャピタルゲイン税が廃止となりました。詳しくは対象となる州のウェブサイトでご確認ください。

なお、キャピタルゲインが発生し、確定申告の際に追加納税が見込まれる場合は、事前に予定納税を行うことも可能です。

参考:IRS Schedule D

https://www.irs.gov/forms-pubs/about-schedule-d-form-1040

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