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米国個人所得税確定申告シリーズ (4) 外国金融資産の報告義務

02.17.2023 | カテゴリー, Tax

シリーズ第四回目は外国金融資産の報告義務についてです米国で税法上居住者となると、米国外に保有する金融資産の報告が必要となります。報告は二つの様式で行います。一つは外国金融口座報告書 FinCEN Form 114, Report of Foreign Bank and Financial Accounts (FBAR) 、もう一つは外国金融資産報告書 Form 8938, Statement of Specified Foreign Financial Assetsです。  

Form 114は財務省(Department of Treasury)に電子申告にて報告、Form 8938は内国歳入庁(IRS)に、確定申告書の一部として報告をします。提出期日は415日(2022年度については418日)ですが、いずれも延長申請が認められています。 

Form 114は口座の保持者がそれぞれ個別に提出が必要となるために、報告が必要となる基準を満たす場合には、配偶者子女についてもそれぞれ個別に報告を行います。一方、Form 8938 は申告身分ベースでの報告となります。 

Form 114 は、米国外に保有する全ての口座の最高残高が当該年度中一時でも$10,000を超える場合には、最高残高が$10,000に満たない口座も含めて保有する全ての口座の報告が必要になります。Form 8938の場合は、この報告基準が上がります。金融資産の合計が、独身・夫婦個別申告の場合年末時点で$50,000、当該年中に$75,000 (夫婦合算申告の場合はこの基準がそれぞれ2倍になります)を超える場合に報告が必要となります。なお、米国外に居住する税法上の米国居住者には異なる報告基準が適用になります。よって、Form 114では報告が必要なものの、Form 8938では必要ないというケースも考えられます。またForm 8938では、報告した資産から所得が発生していた場合には、その情報の開示も必要となります。なお、換算レートはいずれも年末時点のものを使用します。 

報告が求められる主な口座は、銀行口座、証券口座、個人年金口座、401k確定拠出型年金口座、積立式保険口座(資産価値のある口座のみ)、会社から提供される持株会口座、財形口座になります。Form 8938は、報告が必要となる範囲が広がるために確定給付型年金口座、会社の持分、ヘッジファンド等金融派生商品についても追加で報告が求められます。 

報告が必要な内容は、金融機関の名称と住所、口座番号、当該年中の最高残高となります。 

報告を怠ったまたは報告漏れがあった場合には、高額のペナルティが課される可能性がありますので、漏れなく報告をすることが重要です。 

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