起業・企業進出に必要な知識編

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起業・企業進出に必要な知識編

アメリカでの会社設立作業は、大きく分けて4つの段階を経ることになります。

  1. 設立の意思確認:日本の親会社は、まず本当に実行したいのかどうか、「なぜ米国事業を始めるのか?」、その意思があるかを見極めなければなりません。
  2. ロードマップ作成:次に、親会社はいかにして目標を達成させるか、計画を立てなければなりません。
  3. 以上最初2つの作業は、日本側の視点で進められます。
  4. 事業計画:親会社の計画をアメリカにおいてアメリカ側の視点に基づいて、検証、確認、整備を行います。現地に特化した情報も付け加えます。重要な問題が解決できなければ、上記3段階の作業途中で旅を中止することも可能です。
  5. 計画実行:米国事業所が親会社によるサポートの下、本格的な米国事業の稼動に到達するために全ての準備が整っているか、を確認します。

日本の親会社は、米国市場参入への準備ができているかを自己評価し、そのためのロードマップ作成を担当します。ロードマップは親会社の観点で作成し、作成過程における決定事項は親会社の意向を反映したものでなければなりません。米国市場参入が賢い選択であるかの調査結果に基づいて、計画を実行に移すか否かの最終決定を親会社が行います

米国における事業計画の実行を担当します。つまり、米国事業計画を実際に管理展開するのは米国事業所です。米国事業所の執行部は、この計画実行における責任を負います。従って米国事業計画は、米国側執行部が達成可能と判断できるものでなければなりません。

米国参入を目指す企業は、米国市場での事業展開が簡単なものではないことを理解しておかなればなりません。高い収益性を見込める市場であり続ける米国ですが、ここで実際に収益を上げるためには、まず入念な調査と準備が必要です。ロードマップ作成作業は、会社の事業を見直し、今後の状況を推測する良い機会となります。会社の将来に向けた準備を整え、競争の激しい米国市場において自分の会社がどこまで成功できるかをより深く理解できることでしょう。アメリカのように複雑かつ取引高および地理的規模が巨大で多種類のビジネスが入り乱れる市場において、会社のブランドや製品を広めるためには周到な計画が不可欠です。

米国市場参入のための財務計画作成が必要です。日本の親会社は、ここで作成された財務計画を基に必要となる資金の見積りを行います。従って親会社の米国市場参入に対する意思と、必要となる資金の投入能力を再確認できる資料となるのです。当初の市場参入意思と投資能力の査定は主に親会社によって行われるもので、実際にどれだけの資本投入が必要となるかという具体的情報によるものではありません。初期の財務計画は、米国市場参入ロードマップの一部として親会社に帰属します。将来の財務計画は米国事業所に帰属し、米国事務所の事業計画活動の一部として作成・維持されるものです。財務計画は会社執行部門による継続的な成長予測収益と業務予測を可能にし、米国事務所業務の実績を評価する資料になります。

  1. 米国事業所が収益を上げられるようになるまでの数年間に渡る経費の見積り
  2. 当初の見積り以上に費用がかかった場合の予備費の見積り
  3. 一定期間毎の収入予測
  4. 当初の見積りより収入の増加が遅い場合の予備費の見積り
  5. 収入が上がり始める時期と収入が軌道に乗り始める時期の予想

親会社の財務計画のためには、以下に挙げた米国事業の主要経費に関してできるだけ正確な見積りが必要です。

  1. 設立費用
  2. 運営費、米国事業活動における各部門の人材確保費用を含む
  3. 日米間の出張費および米国内の主要顧客や協力会社訪問のための旅費
  4. その他経費

親会社の財務計画のためには、早期の顧客からの収益と長期的収益予測に関して相対的な見積りが必要となります。

  1. 初期の顧客と予想される数件の顧客からの収益
  2. 主として自社製品を早期に導入する顧客からの収益
  3. 長期収益予測

まずは、米国事業所の財務計画を作成する必要があります。収益成長率と経営効率の予測を査定し、継続的に評価するための基準となる重要な資料です。どのような財務モデルの要素を事業計画に含めるべきかについてのみ説明します。これまで財務モデルを作成した経験がない場合、特に資金調達または全社的な目的のものを作成したことがない場合、自身が考えている以上に詳細な資料が必要となる覚悟でいてください。詳細はEOSでお手伝いたします。

通常収入を予測するには、まず製品の販売予想から始めます。出来る限り現実的な数字を予測することが大切です。小規模企業は当初の販売能力を過大評価しすぎ、後になぜ収益が予想より少ないのか疑問視するという傾向があります。販売予想を立てる際には、この事実に留意しておきましょう。

事業計画には財務モデルすべての数字を記入する必要はありません。またそれほど詳しい数字を記載しても効果的ではありません。情報が多すぎると文書は参照しづらくなるものです。しかし基盤となる情報として、最新の詳細な財務モデルを用意しておく必要があります。ただし米国事業計画に含める収入情報は、通常親会社が作成するロードマップより詳しい情報が必要です。この段階では予想値だけでなく、顧客毎にどのように予想を達成するかも計画が必要です。

  1. アメリカにおける今後3〜5年の年間総収入予測
  2. 米国事業1年目の月毎および四半期毎の収入予測
  3. 特に1年に満たない単位で収入が分割された場合の累積収入
  4. 各期間におけるアメリカでの販売数
  5. 予想に含まれた期間全体における顧客別年間および合計売上
  6. 複数の製品を販売する場合、製品毎の売上高と販売数
  7. 複数の製品群を販売する場合、製品群毎の小計

事業計画のために収入予測を行う場合、最初の月、四半期、または通年の結果を基準にし、単にその数字に成長率を掛けてその後の予測値を算出するという方法は適しません。何件の顧客に単価いくらで何個売るというような明確な予測が必要となります。

支出予測は収入予測と同様、財務モデルにおける重要な要素です。名前の通り、米国事業所においてどのような経費が発生するかを予測します。また収入予測でもそうであったように、財務モデルのすべての数字を記入する必要はありません。簡潔なものに留めておきます。経費の予測額が小さすぎるケースはよくあり、場合によってはいつくかの経費項目を全く忘れてしまうこともありますので注意して下さい。米国事業所の異なる部署に割り当てる経費項目を設定すると、事業計画書がより読みやすく理解しやすくなります。個別部署を持つほど会社が大きくない場合は、これらの分類を業務の種類として考えることもできます。

  1. 研究開発R&D費:米国向け製品のカスタマイズ費、新製品開発費
  2. 製造費:材料費、輸送費、人件費その他
  3. 物流費:材料、完成品を含む
  4. マーケティング費:戦略策定費、マーケティング計画実行費
  5. 販売費:人件費、交通費、セールス資料作成費、その他顧客を惹き付ける活動に関連する費用   
  6. 法人税
  1. 事業開発費:戦略的提携パートナーとの関係構築や関係育成に関わる費用
  2. 運営費:事務所賃借費、機器のリース、研究室賃借費、IT その他インフラ費
  3. 管理費:内部管理費、総務など、および外注管理費、法律顧問、コンサルティング、教育、会計など、その他費用
  4. 業界特有の特殊費用:臨床研究やトレーニングなど
  5. 出張費:米国内および日米間
  6. その他(法人税含む)

収入予測が完了したら米国事業所の見積損益計算書を作成することができます。この計算書は事業計画にも含めてください。米国事業所の各年度における純損益や税引き前予測値を記入します。

米国事業計画の財務予測には、さらにキャッシュフロー予想も加えましょう。販売条件など価格設定の基準となるビジネス・モデルによって、キャッシュフローは収支予測と大きく異なる場合もあります。

顧客やサプライヤーとの交渉によって決定される販売または支払条件は、収支どちらの面においてもキャッシュフローに影響します。会社のビジネス・モデルに根本的なキャッシュフロー問題が存在していれば、売上高が向上しても解決にはなりません。

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